タイの嗅ぎ薬、ヤードムの種類
ヤードムとはタイの伝統医学で昔から漢方薬やハーブを使った嗅ぐ(ドム)薬(ヤー)です。タイを訪れた人は、タイ人がリップクリームみたいな物を鼻の穴に入れている姿をよく見る事があると思います。バイクや車のタクシーの運転手から高級車を乗りまわしている裕福層の人まで男女問わず広範囲のタイ人に日常的に愛用されているヤードムの種類について紹介したいと思います。
リップスティックタイプのヤードム
今の時代の定番の形、リップスティックサイズのプラスチック容器の中にアロマ液体に浸かった棉芯が入っているタイプの商品です。容器は上と下に分割されていて上部は鼻から吸う用で、下部からは液体が出るので虫刺されや頭痛の時こめかみに塗れるようになっています。
主な主成分の効能は、メントールは細胞の活性化、眠気覚まし、気分転換に効き、カンファーは血行促進、鼻づまり、疲労回復、リラックス効果があり、ユーカリオイルは頭痛鎮静、花粉症、免疫活性化、抗菌、殺菌に効き、ボルネオールは神経疲労、強壮作用です。
このタイプは万能軟膏薬で有名な「TIGER BALM」や、イギリスのチェーン店系ドラッグストア「Boots」、タイ王家創立の老舗オーガニックハーブブランド「アバイブーベ」からもオリジナルで販売されていますが、一般的なタイ人が日常的に使うメジャーなブランドは下記の4種類です。
- 「ポイシアン (Poy-Sian)」(メントール42%、カンファー16.4%、ユーカリオイル8.5%、ボルネオール6.1%)は、ヤードムの代名詞とも言われる老舗メーカーの商品です。パッケージにいろいろな色がありますが、香りや成分は同じです。
- 「ペパーミントフィールド (Peppermint Fields)」(メントール55.9%、ペパーミントオイル3.7%、カンファー4.9%、ユーカリオイル6.2%、ボルネオール9%)は、女性好みの可愛らしいパッケージが売りです。オレンジの香りもあります。
- 「シアンピュア (Siang Pure)」(メントール53%、カンファー2%、ユーカリオイル32%、ボルネオール1.5%)は、漢方薬オイル市場におけるタイのリーダー的存在のブランドです。
- 「Vapex」(メントール15.25%、ユーカリオイル4.45%)は、スイスの製薬会社バイエルの子会社が販売しています。
昔からの製法のヤードム
伝統医学で使われていた昔からの製法(天然のハーブやスパイスを樟脳やメントールオイルなどに浸す)で様々な容器に入って販売されている商品です。
- 「ジャルンジット(Jarungjit)」は、アジアンテイストの銀色のメタルでお洒落な容器にクローブ、樟脳、生姜、ユーカリなどのハーブを使ったスパイシーな香りが特徴です。
- 「Kung Premma」は、蓋がついた小さな瓶の中の荒いガーゼに包まれたメントール、クローブ、サンダルウッド、ユウガオなどのハーブがオイルに浸してあります。
- 「ホングタイ(Hong Thai)」は昔からの伝統的なタイプで15種類のナチュラルハーブを手作業で選びメッシュに包みユーカリオイルに漬けたものが、蓋つきのプラスチック容器に入っています。
- 「Herbpiness」は植物学とハーブの専門家が今の時代にマッチする香りを10種類以上のハーブを使ってオリジナル商品にしています。小さなガラス瓶の中に乾燥ハーブが丸ごと入っていてオリジナルとオレンジの2種類販売されています。100%ナチュラル成分を使っているので乳幼児にも安心して使える商品です。
新しいブランドのヤードム
時代とともに変化し、次々と若者向けに新しいブランドもたくさん販売されています。
- 「Choui」は、少し太めな可愛らしい容器に、ペパーミント、蓮、コブミカン、ジャスミン、ミルクなど12種類の香りが選べます。
- 「Boomboom」はパッケージが黒とモダンでミュージックフェステバルや、クラブで人気があります。フルーツの香りからミントまでバリエーションが豊富です。
最後に、「シアンピュア(Siang Pure)」や「ポイシアン(Poy-Sian)」は、鼻から吸うタイプでは無いロールオンタイプ、液体タイプ など直接皮膚につける商品も販売しています。
ヤードムの効果は鼻づまり、花粉症、乗り物酔い、リラックス、リフレッシュ、眠気覚まし、虫刺され、頭痛、など多様にあります。各商品は、容器のサイズも小さく、価格も安価なので、使用用途に合わせて何本か持っていると良いと思います。具体的にどんな成分が配合されているかチェックし、お気に入りのヤードムを見つけてください。